じゃんけん必勝法
まず、はじめに言っておくと、このインディーズゼロ秘伝『じゃんけん必勝法』は、必ずしも、明日からのあなたのじゃんけん生活での“勝ち”を約束するものではない。
しかし、明日からのじゃんけん生活を“より深く”、“より楽しく”することは間違いないだろう。
じゃんけんのように、日常の中に溶け込んだちょっとした遊びでも、モノの見方・考え方次第で、いかようにも深く・面白く変化していく。
インディーズゼロは、業務以外の重要な出来事に関しては、時に『じゃんけん』か、それに準ずるゲームを行い、白黒をつける会社である。
まさに「じゃんけん」こそが“神”であり、その結果には、社長やクライアントすら例外なく従うのが掟なのだ。
そして、会社の秘伝の技として、秘密裏に受け継がれてきた奥義。それが、このインディーズゼロ秘伝『じゃんけん必勝法』だ。
信じるも疑うも、生かすも殺すも、あなた次第。
じゃんけん道に深淵へと続く、秘伝をここに授けよう。
「じゃんけん」は、古来より行われている“拳”と“偶然”のチカラを利用して勝敗を決める簡単なゲームである。
そして、脳内ランダム(※注1)によって勝敗が決定する「じゃんけん」には 「必勝法」と呼べるような勝ち方はないとされている。つまり、ふたりじゃんけんを複数回勝負した場合の、それぞれの勝率は、「2分の1」に収束してゆく……とされているのだ。
「じゃんけん」が、本当の意味でランダムによって勝敗が決まるのならば、 長い人生の中で「必ずグー」を出し続けた場合の ふたりじゃんけんの通算勝率は「2分の1」に収束してゆくはずである。
だがしかし、現実世界において、そんなことが起こりうるのだろうか?
じゃんけんは、仲間内ですることが多いので、 仲間から仲間へと情報が流れ、「必ずグーを出す男」の、 人生通算勝率は「必負」と呼べる域にまで落ち込むことが予想される。
…そう、じゃんけんは実は「ランダムによって結果が確定するゲーム」ではないのである。
人間の脳は、数学的な意味での「ランダム」を生成することはできないのだ。そこには癖があり、心理の流れがあり、外部からの情報の影響を受ける…
人間の脳とは、「ランダム」とはおよそほど遠いものなのである。
「必ずグーを出す男」が「必負」に陥るのは、彼が必ず負ける方法(=グーしか出さない)を選択しているからである。そして「“必負”の方法」のありえる世界には、「“必勝”の方法」も必ず存在する。
確率を意識し、心理を読み、「相手の心」を誘導する。
そんな「じゃんけんの勝ち方」をあくなき執念で追い求めていけば、
あるいは“必勝”と呼べる域にまで、近づくことができるかもしれない。
そんな『じゃんけん必勝法』への道のりを、「勝つ確率をあげる方法」から順を追って、エピソードとして紹介していこう。
「ランダム」とは法則性を導き出せない、無作為の結果を表す言葉である。
コンピューターで生成されるランダム数列は「疑似乱数」と呼ばれ、 初期値にシステム起動時のコンマ単位の秒数などを用いた複雑な数式から 生成されることが多い。よって「疑似」であり、構造的には法則性をもっている。
また、サイコロやルーレットを用いた物理的なランダムも、 振る強さ、角度、空気圧などが一定であれば理論上同じ目が出るはずであり、実存するカジノのディーラーは、これを高い確率で操作することが可能である。
「本物のランダム」とは、現実世界において、かくも得難き存在なのである。
本来、じゃんけんとは、なにかしらを賭けて行うものである。(掃除当番などの軽微な罰ゲームや、スポーツのフィールド選択など)まったく無意味に勝敗をつけるじゃんけんは、クマさんチームと、ウサギさんチームを分けるようなものであり、 本文で触れている「じゃんけん必勝法」とは無縁の存在であると言える。
ここで、この秘伝を授ける上での「決まり事」を記しておく。
- 「後出し(※注2)」、「筋読み(※注3)」「グーチョキパー(※注4)」に代表されるような、 「じゃんけんのルール」自体を崩壊させる裏ワザに関しては扱わない。正々堂々と「じゃんけんのルール」に則って戦うことを基本とする。
- 本記ではイラストにて使用している「関東じゃんけん」の「グー チョキ パー」の出し方を基準として使用する。
- 本記は「ふたりじゃんけん」を前提として記述する。3人以上の人数のじゃんけんに関しては、内容が煩雑になるため触れない。ただし、3人以上の人数のじゃんけんの場合でも、手の傾向のクセが強い人物や心理的傾向を把握している人物を抽出し、その人物に対して戦術を用いれば、「ふたりじゃんけん」からの応用が可能である。
- 本記で紹介する『必勝法』を意識して「じゃんけん」に望んでも、数学的見地からは、勝率の期待値が2分の1以下になることはなく、損となることはない。
じゃんけんの「手」を出す瞬間に、ゆるい握り拳の形で出し、 相手の「手」を瞬時に確認してから、それに勝利する「手」に拳を変化させる行為。現実的にはかなりの反射神経が要求され、不正行為を見抜かれずに行うことは難しい。
相手の利き手の筋肉の動きに注目し、拳の変化を事前に察知しようとする行為。練習を積めばある程度の精度は得られるが、対策されると効果が激減する。
親指、人差し指、中指を伸ばした状態で拳をつくり、 「グー、チョキ、パー」の三要素を含んでいるから、必ず勝てるとする「手」の一種。当然、本来のじゃんけんのルールからは逸脱した行為であるので、やり直しを要求できる。
また、三要素を含んでいるのなら、相手の手に対して、 「1勝、1分、1敗」になるため、「勝ち」に当たらないとの解釈も可能である。